なぜこの活動────移動式銭湯だったのか？その問いに答えるにあたって、まず私は「服」という存在について今一度考えました。私たちは誰もが皆それぞれに“服”を身にまとって生きています。それは何も「目に見える服」のことを指す言葉では決してありません。人種･国境･信仰･見た目･肩書きetc...これらは全て「服」に等しい。なぜなら、私たちは皆、生まれた時は一糸まとわぬ裸の存在だったから。人間は生まれた時は皆同じ“まっさらなキャンバス”でしかありません。そこから少しづつ「経験」という名の色をキャンバスに載せ、次第に「今の私たち」という一枚の絵が長い年月を経て描かれてきました。「経験」とは人の数だけ存在する。だからこそ、必然的にこの世に同じ絵は二枚と存在しない。自分はこの世界という名の美術館に飾られた全ての“絵”には例外なくそれぞれの良さが必ず存在すると強く信じています。何が言いたいか────自分自身の「価値に気づかない人」はいても「価値がない人」というものはこの世界に何人たりともいないのだ。しかしながら、私たちは時に「自分には存在する価値がない」と思い込み、そして哀しきことに、この世界に一枚しかない“イノチ”というその絵を自らの手で破り捨ててしまうことすら時に起こりうる。だからこそ「私達は元々皆全て同じ一人の人間であり、全ては後天的に身に付けた服にすぎない」ということを私はこの“お風呂”という手段を通して世界に表現してみせたいのです。

日本には古くからこんな諺(ことわざ)があります…『人間裸になれば皆一緒』自分がこの先世界で超えていきたいもの…人種･国境･見た目･肩書き･しがらみ･偏見･何もかも自分はこの“湯”でそのすべてを洗い流してみせましょう。〝移動式銭湯〟それは人々の心を裸にする世界に一つの不思議なお風呂〝GO BEYOND〟この先に何が待っているのかなんて誰にもわからない。理由なんてない、ただ、心が“やりたい”と叫んでいる。叶えてみせよう、We Are The World────