私は高校入学後、級友に誘われたこともあり、未経験でしたがスキー部の門をたたきました。以後クロスカントリースキーに魅せられ各レースに参戦し、選手引退後は東京都スキー連盟・全日本スキー連盟の役員として現在も後進の指導に勤しんでおります。雪上のマラソンとも呼ばれるクロスカントリー競技は、第1回(1924年)スイスのシャモニー・モンブラン大会からオリンピック競技に採用されている歴史ある競技です。これまで多くのメダリストが輩出されている日本の冬季オリンピックのスキー競技ですが、クロスカントリースキー競技は、未だにメダルを獲得できていないという残念な現状があります。このことから、クロスカントリースキー競技の関係者にとっては、冬季オリンピックにおいて日本人が表彰台に上ることが長年の夢であり悲願となっていました。「オリンピックでメダリストを出そう」というキャッチコピーを掲げ、新潟県妙高市にある池廼家旅館のご主人で日本のクロスカントリースキー界の第一人者である横山久雄氏を中心に理解し合えるスキー仲間たちが結集しNPO法人3Y‘sPro(スリーワイズプロ)を立ち上げました。そのメンバーである私は事務局及びマネージャーとして、会の運営や選手の国内外への派遣のサポートなどをしております。



GO BEYOND な 人
鈴木賢一(スズキケンイチ)
クロスカントリースキーコーチ・指導員
クロスカントリースキー選手の育成、指導、支援活動をしている中で、日本のスキー界で唯一オリンピックでメダルを獲得していないのはクロスカントリースキーだけです。そこで、NPO法人3Y‘sPro(スリーワイズプロ)を立ち上げ資金を集め、今まで何度もメダリストを輩出している北欧のフィンランド、ノルウェー、オーストリアなどの海外に行って優れたコーチに日本の選手・コーチを指導してもらう活動をしています。昨年は、海外コーチ及び海外拠点を探しに、フィンランド、ノルウェー、オーストリアに視察しに行きました。フィンランドのVuokatti(ヴォカッテイ)では、フィンランド元ナショナルチームヘッドコーチと共に環境・施設の見学をし、コーチングについて打ち合わせ、北京冬季オリンピック金メダリストのIivo Henrik Niskanen(イイボ ニスカネン)の練習を見学してきました。ノルウェーのLillehammer(リレハンメル)では、北京冬季オリンピック中国ナショナルチーム前コーチ(ノルウェー人)と共に環境・施設の見学及びノルウェークラブチーム選手の練習、コーチングを見学しました。オーストリアのRamsau(ラムサウ)では、氷河のクロスカントリースキーコース、トレーニング施設の見学をしました。この経験を活かし、海外の設備の整った環境で現地コーチから指導を受ける、日本人の選手、コーチを派遣して、クロスカントリースキー技術の向上を目指します。
日本のクロスカントリースキー選手から冬季オリンピックの金メダリストをつくります。日本の指導者の中には、「日本人がクロスカントリースキー競技でメダルを取ることは絶対できない」と、言っている方がいます。しかし、日本人の適性の有無については、複合競技において後半種目である クロスカントリースキーでも、日本人は体の大きな外国選手と立派に張り合える結果を出せていること、また夏季オリンピックにおいて日本人が常に上位入賞を果たしているマラソン競技等の結果を鑑みても、外国人選手との間に心肺機能等の身体的ギャップはもはや見られません。それであれば雪上のマラソンとも例えられるクロスカントリースキーも、綿密な練習計画に基づき、正確なトレーニングを積み重ねること、またその活動に対する支援組織を構築することで、必ずや選手が表彰台に立つ日が来ると確信いたしております。また、競技人口については、日本でマイナースポーツと言われたカヌーにおいて海外のコーチの指導を受けた羽根田選手が2016年リオデジャネイロオリンピックで銅メダルを獲得するとテレビやマスコミが殺到し、競技そのものが一般に注目されるようになりました。同じくヨーロッパが盛んで日本ではマイナースポーツと言われたフェンシングも2008年北京オリンピックで太田選手が銀メダルを獲得してからは選手が増え、強化されるようになり、2024年パリオリンピックでは男女共にメダルを獲得しました。クロスカントリースキーは、毎年、競技人口の減少が著しいのですが、オリンピックでメダルを獲得することで一般に注目され競技人口を増やすことができるでしょう。
GO-BEYONDER No.678

クロスカントリースキーコーチ・指導員
鈴木賢一
1980年2月、第35回小樽国体にクロスカントリースキー東京都代表として出場したことを切っ掛けに、東京都スキー連盟の専門委員として選手育成、支援、大会運営をしています。2021年7月、非営利活動法人(NPO)法人3Y’sProの理事に就任し活動の幅を広げ、2022年8月からは、全日本スキー連盟の教育本部専門委員としてクロスカントリースキー指導員の育成にも携わっています。Instagram:https://www.instagram.com/kenichi_suzuki.tokyo
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php
2024年9月 3Y’sPro フィンランド、オーストリア遠征
2023年6月 3Y’sPro フィンランド、ノルウェー、オーストリア遠征
2022年8月 全日本スキー連盟教育本部専門委員
2022年9月 3Y’sPro オーストリア遠征
2021年7月 非営利活動(NPO)法人3Y’sPro設立 理事